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大宰相(9)→
大宰相(8)

著者
さいとうたかを
戸川猪佐武

40日抗争の終焉。それにしても、大平ってのは粘ったなぁ。今まで首相の座を巡っては様々な抗争が繰り広げられてきたけど、大平の粘りっぷりはこれまでの誰よりも強情だったな。三角大福の最後に椅子が回ってきただけに、思い入れも強かったということなのだろうか。最初に登場したころはそんな人物のようには見えなかったんだが。
まぁ、わからんものだな。
大平が首相に再選されるところまで読んだが、確か大平って急死するんだったような。まぁ、あれだけ散々なプレッシャーを周囲から与えられれば死期も早まろうというものだね。

40日抗争をなんとかかわした大平の次の問題点は浜田幸一のラスベガス疑惑であった、と。
浜田幸一(ハマコー)って、最近まで現役で怒鳴り散らしてたよなぁ。このラスベガス疑惑ってのは、僕は良く知らないけど(小学校に入るかは入らないかって頃の話だものな)、最近までやってたってコトは、これをきりぬけたということなんだよな。
話はハマコーが辞職を受け入れたというところまでだから、いったん辞めて返り咲いたということなんだろう。これまたしぶといことだ。
そして、ナレーションには大平の死についてそれとなくほのめかされるようになり、何となく緊迫の度が深まってきたという感じ。
実際、他の首相はその在任期間のエピソードを1巻に収めきってるのに、大平に至ってはすでに1巻と半分になっている。
まぁ、それだけ政争が激しく、描くべきエピソードに事欠かないということなのだろうな。池田、佐藤なんて、日本が一番大きく変貌した時代の首相だというのに、二人で1冊にまとめられちゃってるもんな。それだけ二人の政権が安定していたということなのだろう。

ハマコーの辞任によって一区切りついたラスベガス疑惑。
その次は野党による内閣不信任案提出が問題となる。次から次へとまぁ、大変だねぇ。

で、野党が内閣府信任案を出すってことは、野党としては当然、可決して自民党を妥当することに目的があると思われるんだが、さにあらず。
野党は、府信任案を出すことで、自民党との対決姿勢を鮮明にすることだけを目的としており、むしろ、否決されることを望んでいる。もし可決されると、首相は国会を解散する。半年前に総選挙を戦ったばかりの野党には、解散総選挙に対する準備がなんらできていないのだ。

一方自民党内部はどうか。40日抗争のしこりがまだ残ってる状態で提出された内閣府信任案。万一、反主流派である、福田、三木連合が採決に欠席と言うことになれば、不信任案は可決されてしまう。三福はこれを主流派追い落としの絶好の材料として大平との対決姿勢を鮮明にする。
対する大平はまた頑固に辞職はしないの一点張り。
中曽根や福田は適当なところで切り上げたいが、三木が徹底した対決姿勢を示しているため、折り合いがつかなくなる、と。
で、双方とも振り上げた拳の下ろし場所がなくなり、不信任案決議は、反主流派欠席のまま採決にかかり、野党の本来の意思に反して可決されてしまう。
で、大平は解散、総選挙を決意。ここで8巻は終わり。

おもしろいよなぁ、こういう駆け引きって。大平はしきりに「次元が低い」っていってるけど、こういった虚虚実実のやりとりってのはハタから見てる分にはとても面白い。

そして時期的にもだんだん僕の記憶がある頃になってきた。僕が覚えている一番前の総理大臣は、次に総理になる鈴木善幸だ。大平はまったくと言って良いほど覚えてないし。