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| 王莽という名前は聞いたことがあった。中国の漢帝国時代、前漢と後漢の間に存在した新王朝の皇帝。 ただ、それだけしか知らなかったのだが、そういうマイナーな存在に敢えてスポットライトを当てているところに興味を覚えて本作を手に取ってみた。しかし、読んでみると、結局マイナーな存在はそうである理由はあるのかな、とは思わされてしまう残念 さ、というか拍子抜けした感は残る作品だった。 最初から最後まで宮廷劇に終始するのが、そう思わされてしまった最大の原因かな。中国史上唯一といっていい、平和的な王朝交代を成しえただけあって、建国皇帝につきものの壮大な軍記とは無縁。まぁ、貧乏貴族から皇帝まで上り詰めたという筋書きだけ見れば、それなりにカタルシスのある出世物語と言うことも出来るが、やっぱり派手さにかけて単調さは否めない。陰陽や世に起きた奇異な事件を元にことの吉兆を占い、それに沿って行動するという王莽の行動パターンも、初めのうちは面白かったが、ずっとそれが続くとなるとさすがに飽きもくる。 展開が単調である割に、固有名詞の登場数はべらぼうに多いので、人物関係や社会構造を理解するのにも難儀するし。 ただ、これは、作者がある程度史実に忠実であろうとした結果なんだろうな。当時の宮廷の人間関係などは非常に細やかに描かれていて、そこには作者の取材熱心さをうかがわせるのだが、如何せん、細やか過ぎるのだ。どうせ今から2000年以上前の話なのだし、ある程度、史実を無視してもエンタテイメントに徹する道もあったと思う。しかし、それであれば逆に王莽というマイナーな存在を担ぎ出した意味もないし。そんなこんなで、やっぱり題材が難しかったのかな、と思う次第。 |