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| 中世欧州・ペルシアを舞台にした前作から800年。ペルシアで医術を学んだロブ・J・コールの子孫に脈々と受け継がれた、人の死を予見できる「贈り物」の力。その特異な能力を持つ、新たなロブ・J。ロブ・「ジャドソン」・コールとその家族の物語を描いているのが今作「シャーマンの教え」。 前作はイギリスから西方への旅だったが、今作は時代が一気に下り、南北戦争前夜の新大陸アメリカが舞台となっている。そして、物語の主題も、中世欧州・ペルシアの世界描写やペルシアでの友情物語から、新大陸でのインディアンとの交流、南北戦争の中での家族物語へと移り変わっている。舞台は変わっても、親子2代のロブ・Jの医師としての戦いの日々は前作に勝るとも劣らない壮大さをもっている。非常に読み応えのある作品だ。 しかし、ちょっといろいろ詰め込みすぎてるかな、という感じもする。序盤のインディアンとの交流や確執、中盤「耳の聞こえない息子」そして終盤の南北戦争と状況が次々と変化し、主人公も親から子へと入れ替わるため、物語にいまいち一貫性がないような気がするのだ。 個人的にはインディアンのシャーマン「マクワ・イクワ」の存在感が中盤以降希薄になってしまったのがもったいなかったと思う。主人公のロブ・J・コールがもつ、西洋医学術の知識と、シャーマンが行うような原始的な医術の知識、それぞれがどのような意味を持つのか、を問いかけるような視点がちょっと薄かった。話を読み進めていくと、二人で往診を続ける中で両方の医術の融和を図ってるような描写が垣間見られはするのだが、おまけ程度の位置づけであり、たとえば前作のマリスタンで見られたような詳細な描写までは踏み込まれなかったのは残念。 その分、南北戦争はかなりのパワーを割いて描かれており、アメリカの市民が北軍と南軍の間でどの様な感情を抱いていたのか、その中で医師はどのような役割を果たすことが出来るのか?等、前作にはなかった視点での問題提起があり、なかなか興味深く読み進めることが出来た。 このシリーズは3部作ということなので、次回作が最終巻になるわけだ。おそらく現代が舞台になるのだろうが、これまでのシリーズで見せた大河ドラマ的な壮大なスケールを「現代」という狭い世界でどれだけ再現できるのか、が楽しみ。 |