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風刃迷宮

著者
竹本健治

 久々に「掴まされた」って気分にさせられた小説。

 この作品は、牧場智久という少年囲碁棋士を主人公とした本格ミステリーシリーズの一作らしい。しかし、シリーズものといっても、一つの独立した作品である以上、それなりに理解できる筋というものが存在してしかるべきだと思うんだが、この小説にはそういうものが見当たらない。

 都内で連続して起きた三つの事件が次第に一つの線に収束していく、というのがメインのストーリーのようだが、細切れに登場する話が、それぞれ脈絡もなく存在しているようで、非常に難解な展開だった。
 各章の始まりが大体において、一人称での独り語りから始まるため、その話が、登場人物の誰を指している話なのか?状況はどうなってるのか?がまったく分からない。これが読んでて実にすっきりしなかった。

 その辺のもやもや気持ちは、巻末に附せられた解説を読んで、多少紛らわせることができた。
 この「風刃迷宮」は、シリーズの中でも特異な市に存在する作品のようで、このシリーズをジグソーパズルにたとえれば、他のシリーズ作品は、パズルのメインを構成する絵が詳細に描かれている部分。しかし「風刃迷宮」は、その中心付近にありながらも、一色に塗りつぶされた一つのピースに過ぎない、と。
 つまり、それ一つであれば、およそ意味を持たないものであるが、シリーズ全体を見渡すと、それぞれをつなぐ位置にあるらしい。

 それじゃ途中から読んでも分からないよな。と変に納得してしまった。
 だからか、これ単独じゃ評価しようもないし、しようとすればおよそ真っ当なものにはならないだろう。知らずに買った私が悪かったんです、という感じ。