トップへ戻る
「小説レビュー」インデックスへ戻る
闇の楽園

著者
戸梶圭太

 うーん、エンタテイメント、っていう意味で言えば良作、なのかな?
序盤、バラバラに描かれ、まるで接点が見えなかった不法投棄業者・町おこしのテーマパーク事業・謎の新興カルト教団。それぞれに関わる人物や組織が中盤にかけて次第に接近し、最後に一大騒動を巻き起こす、っていう構図はとてもドラマチックではあった。
 新興カルト教団という、ある意味重苦しいテーマを内包しつつも、ポップな軽さを持つ筆致ゆえに読みにくくなるということはなかったし、かなり分量の多い話だったが一気に読ませる力はあった。

 しかし、それだけ、っていう気がするんだな。勢いはあるけど完成度としてはイマイチ、みたいな。

 物語中盤までの、カルト教団が次第に町を侵食していくまでの描写は、あのオウム真理教を思わせる不気味さで、眼を離せない面白さが確かにあった。しかし、終盤の物語の展開のさせ方がどうにも強引な感じがして、そこでやや冷めてしまった。そこまで積み上げてきたものを、一番手っ取り早い方法で崩してしまうような安直さが見えてしまったのだ。
 もうちょっとその展開が安直に見えないような伏線を序盤から用意しておくだけでも大分印象は違ったと思うのだが…

 結局、読み終えた後でも、そういうちょっとしたちぐはぐさが感じられ、どうにもすっきりしない印象を覚えてしまう作品だった。