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白い犬とワルツを

著者 訳者
テリー・ケイ 兼武 進

 小さな本屋で、この本を推薦するPOPとともに平積みしたところ、その店一月だけで400冊売り上げてしまい、ついに版元の新潮社が大々的に取り上げるまでになった、という、ちょっと変わった売れ方をした本。最近は文庫でそういう、版元主導でないベストセラーってなかったから、気になって購入。普段ならあまり読まないタイプの本なんだが。

 物語としては、70年代、アメリカの片田舎に住む、妻に先立たれた老人の生活を、彼の青春時代の思い出話を交えながら淡々と語っている、というもの。
 ホント、実に淡々と話は続いており、大きな事件らしい事件もほとんど起こらない。最大の事件は同窓会か。ただ、それだって、老人のありがちな日常に過ぎない。平穏さと単調さと、その境界線をギリギリ飛行しているようなストーリー展開だ。

 読んでて思ったのは「これは万人受けする本じゃない」ってこと。好きな人はとことんはまり込めるんだろうが、そうでなければ読み終わったあとで「一冊の本を読み終えた」っていう満足感を持てないままに終わってしまう人もいると思う。
 僕は後者だった。あまりに淡々としすぎていて、読みながら、どこに主眼を置けばいいのかわからなかったし、作品全体が「古きよきアメリカ」への郷愁に包まれており、これにあまり感情移入できなかった。むしろ、それに感情移入できる、昭和3,40年代以前に青春を過ごした世代の人なら、素直に感情移入できるのかな、とも思う。

 そういう意味では、単につまらない本とも言い切れないし、無条件で楽しい本とも言い切れない。微妙な小説だ。少なくとも、だれにでも進められる、ってことにはならないかな。