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| 「十二国記」最新作。オリジナル作品としては5年ぶりの新作になる。 今回の主人公は、泰の将軍、李斉と見て間違いないだろう。「風の海、迷宮の岸」に登場し、泰麒と懇意になった女将軍だ。それに時折、陽子のエピソードが挟み込まれる、といった感じ。陽子がメインになる物語はもう無いと思ってたので、これはうれしい誤算。しかも、本書の展開からすると、これからも陽子がメインになってきそうな雰囲気。 そして彼女の活躍によって「十二国記」というシリーズの落としどころも見えてきた感じがする。 ストーリーの背景は、完全に、外伝「魔性の子」とリンクしてる。「魔性の子」では蓬莱(日本)に舞い戻った泰麒(高里)の話がメインだったのに対し、こちらは彼がいなくなった泰の国の顛末について描かれている。 しかし、全部読み終えたところで思うのは、本書は、泰国(泰麒)よりむしろ、「天」とは何なのか?という話への導入になっているのではないか、ということ。そして、これがさっき書いた、「十二国記」の落としどころなんじゃないか、と思った次第。 泰の争乱は一つのきっかけに過ぎず、むしろそれにより陽子が「天」に近づいてしまった。今まで、絶対的な存在と思われていた「天」と、の距離が一気に縮んだ。これは、十二国記世界においても非常に重要な意味のある出来事なのだろう。 蓬莱から連れてこられた陽子は、現代的な視点でこの「十二国」の世界を見ている。そのため、この世界を縛っていた「天意」に拘ることのない提言を次々と持ち出してくる。その最たるものが、今回の泰争乱への処方箋として陽子が提案した国際的な共同事業になるんだろう。蓬莱にしてみれば、複数の国家が一つの事件に共同して取り組むことなどは当たり前のことだが、十二国の世界では驚天動地のこと。 そういった「異端」の視点をもつ陽子が天に近づき、その一部を見てしまった。そして、彼女はこの世界の仕組みを疑い始めた。このことは、シリーズ全体の中でももっとも大きなターニングポイントになったと思う。 十二国の住人は皆、天意に従って生きていくことを当然のことと信じている。それは、かつて蓬莱から流されてきた延王、延麒についても同じことだ。彼らは、まだ日本に神話が生きていた時代の人物だから、むしろ十二国の世界観にはなじみやすい人種だったのだろう。 しかし、陽子はそうは行かない。すでに「この世界は『神の庭』なのでは?」という思いに至っている。すなわち、神が自分の趣味で作った世界。 ・・・今まで、単にとりとめもなく続いてきたように見えるこの十二国記だが、陽子がこの疑問を手にしたことで、天・天帝の存在ひいては、この世界の存在理由が最大のテーマとして浮かび上がってきたのだと思う。 泰についてもいろいろ謎の残る展開だったが、やはり、上記の問題が今後の展開にはもっとも重要になってくる気のする話だった。 |