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風と共に去りぬ

公開年 監督 主演
1939 ビクター・フレミング ビビアン・リー

 「名画とは?」と問われれば必ずその名が挙がる「風と共に去りぬ」。今まで、部分的にしか見たことはなく、今回はじめて通して見た。成程、名作・大作と呼ばれるにふさわしい作品だ。これだけ壮大な作品が戦前に制作されていたことには、今更ながらに驚きを感じる。
 時代は南北戦争直前、奴隷問題や社会的な理念の違いからアメリカが南北に分裂していた頃の話。舞台は「南」のジョージア州アトランタ近郊のタラという町。上流社会をきままに生きるスカーレット・オハラという女性を中心に描かれている。南軍の敗戦という社会的大事件を背景した大河ドラマだ。

 序盤の南北戦争前の社交界を描いたシーンでは、当時のアメリカ社会もヨーロッパのそれと同様に華やかなものだったんだな、という思いがまず浮かんだ。そして社交界というと華やかさと同時に思いつくのが「人間関係」ってヤツだが、スカーレットという跳ねっかえりを中心に話が展開することでその辺も非常にわかりやすい・・・スカーレットは女性にとっては嫉妬の、男性にとっては羨望の対象なんだな。でも、正直言ってスカーレット(っていうかビビアン・リー)の生意気さはいくらでも画面を通して伝わってくるんだけど、その魅力ってのはなかなか伝わってこなかったな。これは最後までそうだったかも。彼女の何がそんなにバトラーやアシュレーを魅きつけたのか・・・これが理解できないってのは、ただ単に僕の人生経験が足りないってことなのかな?
 中盤、華やかな舞台が一変して南北戦争の激化により大混乱のシーンに陥る。ここがハリウッドの大作たる所以と言うか、非常に大掛かりなセットでこれでもかという勢いで、北軍が迫り混乱するアトランタの町を活写している。特に弾薬庫が焼け落ちるシーンの迫力には息を呑んだ。
 ここでの困難を糧にスカーレットは大きくその生き様を変えていく・・・のだろうか。ストーリー的にはそういう風に扱いたい感じが見えるのだが、基本的には同じ人間だから、戦争の前後でそれほど変わってはいないように見える。ただ、戦勝終結直後、2度目の結婚の直前までのスカーレットは必死に生きるって雰囲気が出ていて好感は持てたんだけど。生活が安定してからは完全に戦争前の性格に戻ってたな。あんたも懲りないね、というところか。
 戦争以降、スカーレットよりも彼女の友人であるメラニーのほうが大分目立っていた。彼女はスカーレットとは見事なまでに好対照で、お人よしだけど、一本芯は通っている。そしてなによりも、あのじゃじゃ馬スカーレットを心の底から信頼しているのだ。これは僕には信じられない事だ(バトラーも劇中でそう言っていた)。でも、スカーレットもメラニーを恋敵として敵視する一方で、北軍が迫るアトランタで産気づいた彼女を助けようと東奔西走するなど、単に憎んでいるだけじゃない、ある意味スカーレットにとって特別な存在であるということが明らかにされてるな。
 バトラーも結構魅力的な人物。ダンディーってのはこういうのを言うんだろうな。歯の浮いちゃうような台詞もむしろ似合ってるように見えるし、どこかはみ出しもののような雰囲気を持っていながら、きっちりするところはしているという。もう一人の男性レギュラーであるアシュレーとは余りに違いすぎる人物像だ。ただ、この作品はアシュレーに限らず、男性陣ではバトラー以外にはあまりろくな連中がいないように思う。女性はメラニーのほかに、マミーとか好人物が何人もいるのに。
 終盤、スカーレットの製材所が軌道に乗ったあたりから、話がちょっと見えにくくなっている。戦争前後で広げまくった話をまとめようとしているのだろうが、まとまりきらないままラストを迎えてしまったという印象。スカーレットとバトラーの娘であるボニーの死と、メラニーの死が急過ぎる気がしないでもなかった。まぁ、その時点で上映時間が3時間半に達しているし、それ以上丁寧に描くこともできなかったんだろうが。
 でも、最後はこういう結末しかないんだろうな。と納得はできた。スカーレットとバトラーの性格を考えると、少なくともハッピーエンドで終わる映画じゃない。メラニーも退場せざるを得なかったんだろう。彼女には悪いけど、メラニーがいたら、いつまでも二人の間を取り持とうとして、あの二人の関係に終止符が打たれることはなかったんだろうし。
 まさに最後は「風と共に去りぬ」だった。

 しかしそれにしても大作である。そうとしか形容のしようがない映画だ。むしろ映画で見るより、連続ドラマで見たい内容だった。戦争後は特に、時間をかけてじっくり描いてほしかったかな。でも、そうしなかったことでこの作品の価値が下がるとも思えない。ま、映画でこれだけスケールの大きな大河ドラマをやるということを考えれば、これだけでも凄い事だ。